真鍮でガムランボール制作にチャレンジ

バリ島の伝統的な銀細工、ガムランボール。その癒やしの音色の秘密を探るべく、見本を分解して構造を研究し、真鍮での制作に挑戦しました。
【ガムランボール制作工程】神秘的な音色を生み出す5ステップ
各ステップの解説
ステップ1. 見本の分析と地金の成形
まずは既製品を糸鋸で分解し、構造を把握することから始めます。
ガムランボールは、スリットの入った内球と外球の「二重構造」が鍵となります。
内部に3ミリくらいの金属球が入っていました。


地金の準備: 厚みを計算し、直径30mmの真鍮板を4枚カット。


叩き出し: 矢ぼうずとサイコロ(打ち出し台)を使い、なましを繰り返しながら、段階的に深い半球状へと成形します。
ステップ2. 音を響かせる「内側」の制作
音色の心臓部となる内側の半球を作ります。


- サイズ調整: 外側の半球よりも一回り小さく、かつ外枠と少し隙間ができるようにカーブを調整します。
- スリット入れ: 見本を参考に、糸鋸で細かく切り込みを入れます。この切り込みが振動し、あの独特な音色を生み出します。
ステップ3. 内層と外層の仮組み・ロウ付け
二重構造を形にする繊細な工程です。


- 端のみの接合: 外側の半球の中にスリット入りの内球を重ね、円周の端だけを「3分ロウ」でロウ付けします。
- 注意点: スリット部分にロウが流れてしまうと音が響かなくなるため、接合面のみに火を集中させます。
ステップ4. 核(金属球)の封入と球体接合
いよいよ、音の素となる金属球を閉じ込めます。


- 封入: 5個の金属球(約3ミリのバレル研磨用など)を中に入れ、上下の半球をぴったり合わせます。
- 銀ロウ付け: カラゲ線で固定し、多めの銀ロウと大きなバーナーの火で一気に接合します。隙間があると酸洗いの際に水分が入り込むため、完璧に密閉するのがポイントです。
ステップ5. 仕上げ:研磨と音色の調整
最後に、見た目の美しさと音の純度を高めます。


- 酸洗いと乾燥: 酸化膜を除去後、今回は水分を完全に飛ばすために乾燥機へ。内部が乾くことで、音がよりクリアに響き始めます。
- 研磨: 接合部のバリを中目・油目・紙ヤスリの順で整え、最後はバフがけで鏡面に仕上げます。ジュエリー磨きクロスで磨いてできあがり。
完成
途中では「ガラクタのような音」しかせず不安になりますが、「球体を完全に閉じること」と「内部をしっかり乾燥させること」で、一気に神秘的な鈴の音へと変化しました。
直径約2センチのガムランボールが完成しました。非常にやりがいのある制作工程でした。

こんな感じの音になりました。
今回はガムランボールの制作にお付き合いいただき、ありがとうございました。
次は、このガムランボールを入れるバスケットを作りたいと思います。
他にも様々な作品をギャラリーで公開しています。ぜひご覧ください。

